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熟年離婚とは
熟年離婚といっても格別定義があるわけではなく、一定の長い期間連れ添った夫婦が離婚することを言います。
離婚案件全体が増加傾向にあるように感じますが、熟年離婚特有の問題点がありますから、ここでご説明させていただきたいと思います。
熟年離婚の原因は?
例えば、次のような経緯から熟年離婚をお考えになったというご相談が多くあります。
・夫が定年退職し、家にいることが多くなった。
・夫が家事をしてくれない。
・お子さんも独立し、その後、夫が不倫や浪費をするようになった。
・お子さんが独立し、夫との生活を終わらせたい。
・妻との喧嘩が増え、自宅に居場所がない。
熟年離婚のメリットやデメリット
熟年離婚の最大のメリットは、長年に及ぶ結婚生活の不満から解放されることにあるでしょう。
結婚生活の不満は、義母などの親族との不和にあることも多く、これらから解放されることもメリットと言えます。
熟年離婚の場合、お子さんが成人していることが殆どですから、親権や監護権が争点とならず、早期解決を図ることができるという点もメリットと言えます。
熟年離婚のデメリットは、離婚後、孤独になる方がいらっしゃる点だと思います。お子さんが既に独立して世帯を構えているようなケースが多く、離婚後、お一人暮らしを始める方もいらっしゃいます。
また、専業主婦であった女性が熟年離婚すると、離婚した後の生活、特に経済面に困ることもあります。経済面については、離婚前に、財産分与や慰謝料等を入念に準備検討しておく必要があります。
熟年離婚の準備
通常の離婚と同様です。
まずは、相手方と協議し、協議離婚(離婚届の提出)という形をとることができないか検討します。
もっとも、財産分与等の大切な事柄を十分に議論して、離婚合意書を取り交わしたり、公正証書にする必要が高いです。
次に、夫婦間で協議が整わない場合は、家庭裁判所における調停を検討することになります。
さらに、調停でも協議が整わない場合は、離婚訴訟を検討することとなります。
熟年離婚と財産分与について
熟年離婚の大きな特徴の一つは、財産分与にあります。
大事なお金に関する事柄で、大きな財産を獲得できるケースも多いですから、入念に準備検討しましょう。
熟年離婚において良く出てくる事柄を整理してみました。
①退職金
夫が退職し、多額の退職金が現実に支給されていることが多くあります。
既に支給されている場合はもちろんですが、今後支給される予定の退職金も、財産分与の対象となります。
②住宅
住宅ローンを完済していることが多くあります。
その場合、土地と建物は財産分与の対象となり、どのように分割するか協議する必要があります。
多くは、土地と建物の価値を現金で清算します。
③年金分割
平たく言うと、夫の厚生年金保険について、婚姻期間に応じた半額をいただくものです。
年金の半額をいただくものではありませんから、ご注意ください。